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弟の葬儀を終えて・・人は死んだら、おしまい。
無宗教による弟の通夜、告別式が無事に終わった。

世間的には59歳の死は早世とは言わないのかもしれない。
だが、60代の私から見れば、50代での死は早世の域に入る。

参列者は弟の妻(子ども無し)と私たち親族と
その連れ合いと弟の親友2人だけでの
少人数での家族葬ではあったが、
弟の死に顔は安らかであり、葬送の儀式も滞りなく執り行われた。


無宗教にしたのは、故人の強い遺志であった。
弟は生前、墓は要らない。遺骨は灰にしてから、
いつも釣りに行っていた○○川に流して欲しいと
常々言っていたそうなので、
親友の一人が法に触れない程度の少量の遺灰を
○○川に流してくれると約束をしてくれた。
残りの遺骨は、弟の妻が弟の愛したその地で
お墓を探して供養してくれるらしい。



弟の葬儀から、4日経った今・・・
思うことといえば、またしても、
「人は死んだら、おしまい」感でしかない。

多くの宗教では、人は死んだら霊魂となって残ると説くが、
意識を司る脳が燃え尽きれば、
人間の肉体も精神も物理的には完全に無になってしまう。


故人と関わりを持った現在生きている人が、
故人を記憶に留めておけば、
故人の生きた証は、記憶に留めている人が引き継いでいける。
そして、やがて、その故人の記憶を引き継いでいる人たちが死んだら、
もう誰もその故人のことを思いだす人はいない・・。

墓碑銘に名前が残っていたとしても、
やがては朽ち果て、名前も判別が付かなくなる。
そして、いずれは無縁仏になり、
誰もが自然の一部として土に還っていく。

社会的に立派な偉業を成し遂げた人間ではない、
私を含めた無名の人々の生きた証などは、
ただそれだけのことでしかない。




それにしても、いつも思うことなのだが、
なぜ、東日本と西日本の骨壷のサイズがあんなに違うのだろう。

東日本では大きな骨壷で全骨収骨が基本だが、西日本では
骨壷のサイズが選べる。

ちなみに弟の遺骨は、弟の妻が選んだ骨壷のサイズに合わせて、
火葬場の職員がステンレスのトレーに入れてくれた、
喉仏(第2頚椎)を含む合計7個の骨が
江戸前の寿司屋の湯呑程度のサイズの骨壷に収められた。

東京から参列した叔母などは、
東日本の葬儀にしか参列したことがないので、
私に「ねぇ。ナス代ちゃん。どうして骨壷があんなに小さいの?
○○男ちゃん(弟の名前)のお嫁さんったら、骨壷の費用をケチったの?」
と小声で訊いてきたほどである。

弟の妻が「あんな大男がこんなに小さくなっちゃって・・・」と、
感慨深げに言っていた言葉が今も忘れられない。

そう・・人は経済的にどんな状態であれ、
また心身的に病んではいても
今を生きているからこそ価値があり、
「人は死んだら、おしまい」なのである。
遺骨に魂などは宿っていないし、
火葬場での焼残骨は産廃物として処分される。

もう、残り時間も短い私・・
今と言うかけがえのないこの時間を、
精いっぱい愉しんで笑って、悔いのないように大切に生きねば!
と、弟の死によって改めて再認識させられた。

葬送の曲が静かに流る部屋遺影の笑顔は幸せに満ち
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59歳で弟が逝く
ついに・・と言うか、やっぱりと言うか、
弟の妻から、「今日、○○時○○分に夫が息を引き取りました。
明日午後7時から通夜、明後日葬儀後に荼毘に付します。」
との電話連絡が来た。


私と相前後して他の兄弟たちもお見舞いに行ってはいたが、
誰が見てもあの状態ではもう二度と病院から
生きて出られることは叶わないと確信していたようだった。

思えば、弟は私のように倹しいケチケチ人生ではなく、
グルメ、車、酒、旅行、趣味の釣りと登山、
ゴルフに収入の大半をつぎ込んでいた。
人一倍人生を楽しみ、
太く短く豪快な人生を全うしたのだ!思うしかない。

故郷の自然と気候に良く似た第2の故郷に
骨を埋めたいとも言っていたことを思いだした。
そして、紅葉の美しい季節に落ち葉がハラハラが散るように、
その地で命まで散らせてしまった。


日本人男性の平均寿命の79・44歳には20年も及ばなかったが、
早死に家系の我が血脈の証明のごとく、59歳で逝ってしまった・・。
それが彼の寿命であったのかもしれない。
年齢に関係なく人は必ず死ぬ。
残った兄弟姉妹の中で次に逝くのは私なのだろうか・・・。

私の生の残り時間も短い。
もうケチケチ節約生活を止めて、
もっともっと弟の分まで人生を楽しまなくちゃ。
だって、あの世にはお金を持っていけないのだから。
121129r
ポロリ、ポロリと死んでゆく

みんな分れてしまふのだ。

呼んだつて、帰らない。

なにしろ、此の世とあの世だから叶わない。
       
By 中原中也

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弟の「おくりびと」になるために・・
数年前に母親を見送り、もう私の実家関係での葬儀はしばらくは無いわよね。
と思っていたら、数日前、弟の妻から弟が入院しているとの連絡を受けた。

弟とは実家を出て以来長らく疎遠であり、逢う機会はといえば、
実家関係の法事の時だけで、普段は年賀状のやり取りしかなかった。


その弟の妻から、
弟は今肝臓の病気で入院していて、
持ってもあと一週間から2週間ぐらいと思われますので、
合わせたい人がいたら今の内に・・と医師から言われたので
兄弟姉妹に連絡したのだという。
息を引き取るのは今日明日という訳ではないが、容態急変も考えられるので、
出来れば逢ってやって欲しい・・という連絡であった。

電話を受けた翌日早朝に夫と家を出て、東海道新幹線に揺られること約2時間、
そこからローカル線で約1時間。東海地方の某市の病院に着いたのが丁度正午。

そこには点滴チューブ、栄養補給のために鼻に差し込まれたマーゲンチューブ
それに生体情報モニターに繋がれ、
黄疸で体全体が真っ黄色、腹水で臨月のようにお腹を膨らませている弟が
意識が有るのやら無いのやら判らない状態でべッドに横たわっていた。
声をかけても目を開けることも無く、
弟はただ身じろぎもせずに昏々と眠り続けている。
生体情報モニターに表示される血圧は120-70。脈拍は80。
まだ正常値。スポーツマンで頑健な体を持つ弟に奇跡が起きることを願った。

そこへ担当の看護師が現れ、今の身体状態の説明をしてくれようとするが、
弟はまだ昏睡状態ではないのかもしれない。
もしかして、体を動かせないだけで意識は有り、耳は聴こえているかもしれない。
本人の横で「あなたはもうすぐ死ぬのだ・・」などと言って欲しくはない。

そこで看護師を廊下に連れ出し詳しく説明を受ける。
看護師は「残念ながら、今の医学ではもう手の施しようはなく、
奇跡も起きないでしょう。」という。

傍に居た我が夫が
それじゃあ、我々には祈ることしかできないわけですか?の意味を込めて、
胸で十字を切る仕草をして、「これしかないのですか?」と訊き返したら、
「そういうことです。力及ばず申し訳ありませんがそういうことになるでしょう。」
との答えが返ってきた。

病院の中庭で外の空気を吸って、再び病室に戻り、弟の顔を眺める。
を繰り返しながら病室には2時間ほど居たが、死にゆく人間を見ている方も辛い。
日も暮れかかる頃に「お姉ちゃん帰るよ・・」と声をかけても弟は微動だにしないし、
もちろん返事もない。

その滞在時間に日中だけ付き添っている弟の妻(もう覚悟はしているらしい)と、
今後のこと(葬儀の規模やら、納骨場所やら)の相談を受けたが、喪主と施主は弟の妻であり、
私が異論を挟むことは出来ない。

そして、我が夫婦は帰路に着いた。
家に着いた頃に弟の妻から電話があった。
弟が微かに目を開き、か細くかすれた声で「姉さんは何時に帰ったの?」と訊いたらしい。
やっぱり、あのときはまだ意識はあって、耳も聴こえていたのだ・・。



私も夫も両親を見送り、しばらくは身内に葬儀はない・・
などと短絡的に考えていたが、夫はすでに長姉を亡くしている。
今度は親世代ではなくて、自分たちが死ぬ番が来たのか・・・
と考えると、すこしばかり切ない。

私と同世代の友人も4人の兄弟姉妹で残っているのは
長女の自分と末っ子の弟だけだと言っていた。
兄弟姉妹でも年上から順番に死んで行くとは限らない。

親とか伯父伯母や叔父叔母などの、私より年長者の親族が死んで行くことは、
それなりに納得はできる。
だが、私より年下の弟が今現在死にゆく状態にあるという現実を
受け容れる段階に於いては、自分の死をも重ね合わせて辛いものがある。


そして今日の午後、「死期が近いと思われます。心の準備をしてください。」
と医師から言われて病室に泊まり込んでいる弟の妻から電話が来て、
「今朝から血圧が下がり始め、息遣いも荒くなり、鼻血も出始め、
昏睡状態に入りつつあります。今週末まで持たないでしょう・・」
と医師に言われました。と言うことであった。

病が癒えて、病院から笑顔で退院する人もいれば、
そこで生の終焉を迎え、地下の安置室に行かねばならない人もいる。
弟は後者であろうか・・・。

私はすぐに喪服の用意を整えた。
幼き日にたくさん遊んで、たくさんケンカもした
愛しき弟の「おくりびと」になるために・・。
121128r
幾重にも燈火洩れゐし病窓に灯る数だけ悲喜劇の在り
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テーマ : 「生きている」ということ ジャンル : 心と身体

tag : 点滴チューブ マーゲンチューブ 生体情報モニター

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プロフィール
Author:千風
気が付けば、シニア.........。 老眼鏡無しには新聞も本も読めず、 体の各部位が少しづつ、 壊れゆく 今日この頃、 この世での 残り時間を思うと、気持ちだけはアセアセ、ジタバタ、 ドタバタ。 心に反比例して 体の動きは うだうだ、だらだら、 とろとろ、のんべんだらりん、だらだらりん・・ついでに座布団に つまづいて すってんころりん。 ころころりん・・。 そんな明日をも知れぬ シニア女が老いと死の狭間で 揺れ動く、 切なくも哀しい乙女心。 じゃなかった・・(^_^;) 「お婆心?」を 時には超真面目に、 また或る時はユーモラスに、 独断と偏見思考で綴っています。
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