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老婆たちの「老いへの哀しみよ、こんにちは。」談義。
今日、市営プールの更衣室に入ろうとしたら、
外にも聴こえるような大声で嫁の悪口を言っているA子さんがいた。

私を含め親しい友人たちにもお嫁ちゃんのいる人も少なからずいるが、
大部分は別居しており、私としては姑が嫁の悪口を、
こんなにもあからさまに言うのを耳にするのは初体験であり、
或る意味、新鮮で衝撃的な出来事だった。

「お嫁ちゃんの何が気に入らないのかしら?」と耳を澄まして聴いていたが、
とにかく、嫁の容姿からしぐさ、日常生活、息子への献身度、孫たちへのしつけ方、
また、姑であるA子さんに対する態度まで含めて全部らしい。

「救いようがないわね。
まぁここで悪口を言うだけ言ってストレスを解消していけばいいじゃん!」

と思いながら着替え中のBGMの如くに、
鬼婆ちゃんによる、名も知らぬ鬼嫁ちゃんの悪口を聴いていた。

A子さんの息子夫婦と小学生の孫二人は、
A子さん宅から徒歩約30分の処に住んでいるらしいのだが、
お嫁さんの実家(車で約一時間)には毎週のように行くのに、
A子さんの処には盆暮れにしか、つまり年に1~2回しか顔を見せに来ないらしい。

「初めは2世帯住宅で同居していたのに、
主人が亡くなるとすぐに嫁が別居したいと言い出して、
息子家族が出て行ってしまったのよ。
あんなに私に優しかった息子も今では嫁に洗脳されてしまって、
月に一回ほどは私の生存確認の電話はしてくるものの、この家に寄り付きもしないのよ。
私の何処が悪いっていうのよっ!?
あれ以来、孫たちも、夏休みや春休み等にはお嫁さんの実家に長期滞在するのに、
私の処には一日も来ないのよ。
私が独り暮らしになったから、孫の世話を出来ないと思っているのよ。バカにしてるわよね。
息子の為にと思って嫁宛てに、せっせとお中元やお歳暮も贈り、孫もたまにしか来ないからと、
来る度にお小遣いやお年玉も世間相場よりたくさんあげてるのに、
なんなのよっ!あのバカ鬼嫁はっ!」

いよいよ、お嫁ちゃんへの口撃も佳境に入って参りましたようで・・・。(^_^;)

「息子にはあんな鬼嫁と離婚して孫を連れて帰って来て欲しいわっ!
夫が残してくれたこの家で私が死ぬまで二世帯同居するつもりでいたのに、
あの鬼嫁の影響で息子がマンションを買ってしまって、
息子だけが、ローンであくせくしているのよ。
この家で同居していれば、息子がローンで大変な思いをしなくて済んだのに、
嫁は働きもしないで、のうのうとお稽古ごとに行ってると言うし、
息子が可哀想で可哀想で、なんとかしてあげられるのは私だけなのに、
なんの手も出せないなんて・・・
それもすべてあのバカ鬼嫁のせいよっ!私がもっと老いて介護が必要になっても、
嫁は私の介護なんてしてくれそうもなくて、
介護施設に入れるつもりなのよ。きっとそうに違いないわ。
だから、私は絶対に孤独死して、嫁に復讐をしてやらなきゃ気が済まないのよ。
だけど、私が孤独死したら、世間や親戚から責められるのは息子なのよね。
私・・・いったいどうしたらいいのかしらね。B子さん教えてっ!?」

と声を荒げ、口角泡を飛ばしての、恨み節演説の相手になっている、
お相手のB子さんはと言えば、相手の言動にはどんなことにでも相槌を打ち、
誰にでもなんにでも、「そうね。そうね。」と、
歩調を合わせる主体性のないお調子者のB子さんでありますので、
もちろん、明確な答えなどは返って来るわけもなく・・・。
B子さん以外の人は、
巻き添えを食ってはたまらんと、知らんぷりで聞き入っていましたとさ。

A子さんはかなり興奮していたせいか、
次から次に更衣室に入ってくる人やプールから出てくる不特定多数の
他者も眼中にないかのように、鬼嫁への恨み節演説は留まることなく、
延々と続いておりましたとさ。<(`^´)>

さぞかし血圧も急上昇しているにちがいない。ここで倒れないでね・・。
もし倒れたら、救急車に乗せられて辿りついた救急病院には、
あなたの大嫌いな専業主婦のバカ鬼嫁さんが真っ先に駆けつけるわよ。
と思いながらも、結論を聞きたくてその場にいたら、
A子さんもさすがに喋り疲れたのか?
それとも不平不満を吐き出すだけ吐き出してスッキリしたのか?
B子さんと連れだって更衣室を出て行った。


更衣室で見て見ぬふりをしながら着替えをしていた他の婆様たちからは・・・

「老いの・・哀しみよ、こんにちは。を地で行ってる人ね。」

「理不尽な自己主張だけを言い尽くすのって、ストレス解消になるらしいわよ。」

「あれじゃあねぇ。私がもし嫁だったら、年に1・2回どころか、一度も行きたくないわ・・。」

「私の嫁ぎ先もあんな姑がいたのよ。
時代的に別居なんて許されない状況だったから、耐えて、耐えて、耐えまくって、
何度、布団の中で涙を流したか知れないわ。だけど、私もそのうち反撃に出たから、
鬼嫁VS鬼婆バトルの日々も経験したけど、
姑が亡くなった今になって思うと、毎日が充実した人生だったように思うわ。」

「寂しさに耐えられないのねぇ。或る意味同情はするけど、
それが、男より平均寿命が長い女の人生としての運命(さだめ)じゃないのかしら?」

「65歳にもなって、息子、息子って、まだ子離れができてないのねぇ。信じられないわ。」

「今の時代、息子なんて結婚したら嫁の実家の人間になるのよ。
磯野家のマスオさんみたいに・・・だから今さら、実母でも息子との絆なんか求めても無駄よ。」

「息子と孫が来ない!来ない!って・・意味が理解できないわ。
家同士が近いんだったら、ケーキでもお土産に持って
A子さんが気軽に遊びに行けばいいじゃないの?
私なんか、気が向いたら、息子の家に押しかけ婆さんしてるけど、
必ずケーキをお土産を持って行くので大歓迎されてるわよ。
嫁にとっては心からの大歓迎かどうかは定かじゃないけどね。(^_-)-☆」

「私には、けしかけてもけしかけても嫁に行かない38歳の娘がいるけど、
あんな姑だったら結婚なんかしなくていいわ。と思ってしまったわ。
もし結婚する気になっても絶対に別居させるわ。」

「A子さんは暇で暇でしかたないんでしょ。
こんなところで大声で嫁の悪口を言えるってことは幸せな人なのよ。」

「世間ではさ、孤独死候補者に対して、あなたは独りぼっちじゃない。
決して孤独ではありません。もっともっと、絆を求めて外に出なさいとか、
家に閉じこもるな。なんて言う人もいるけどさ、
今の自分が不幸なのか幸せなのかなんて、その人が決めることじゃない?
余計なお世話よね。
それにさ、所詮・・人間なんてみんな独りぼっちなのよ。
この歳まで生きてりゃ、それぐらい判らなきゃね。」


等々の人生を無為に生きてこなかった婆様たちの含蓄あるひそひそ話が始まり、
「他人の不幸は蜜の味」を愉しみつつも、
自分たちの心豊かな老後への示唆及び参考にもなった訳でもありますが、
日常生活で、大家族に囲まれて暮らしていても、孤独な人は孤独であることを考えると、
そこそこに健康で自由に体を動かせて、尚且つ、自分の時間を自由に使え、
働かなくても食べていけるだけの年金と蓄えもある幸福な今の立場に感謝こそすれ、
いくら家族という絆や肉親の愛に飢えていても、
嫁という血の繋がりのない人だけに怨みの言葉を向けるのは筋違いだと思うのでありますが、
独りという立場に耐えられない、心寂しい老婆であるA子さんに付ける薬は
果たして実の息子という存在だけなのでありましょうか・・。

A子さんは独りでいることの寂しさに託けて、自分が老いることの不安(介護される身になること等)
への大きな不安を覚えているようにも見受けられたが、
家族と暮らしていても、私たちは老い→死は避けられない。
嫁の悪口を言う日々から解放するのは自分自身でしかなく、今ならまだ間に合うと思えてならない。
我欲のみで、求めれば、求めるほど、幸せは遠ざかるものである。
生涯嫁の悪口を言い続けるのも、目の前にいる幸せの青い鳥に気づいて、
心穏やかな老後を過ごすのもA子さん次第・・・。
彼女がそのことに気付くかどうかは、私にはどうでもいいことではあるけどね。(^_^;)

それに・・・
最近、私自身は孤独死をそんなに悲惨で哀れな死に方であるとは思わなくなってきた。
不要な検査をされて、チューブに繋がれて、
日がな病院のベッドで肉体的、精神的苦痛の中で無理矢理に生かされるよりも、
住み慣れた自宅のベッドやソファの上で、ある日突然息絶えることのほうが、
よほど幸せな死に方のような気がしてならないような気がしてきている。

奇しくも、
「私は一人息子が海外に所帯を構えてて独り暮らしだし、
ここ何年も家族という人には合ってないから、孤独死は覚悟してるわ。
家族に看取られて死のうが、独りで死のうが、人間は生まれるときも死ぬときも独りよ。」

と、私の気持ちを代弁してくれたかのようなC子さんに、妙に親しみを感じてしまったのである。

専門知識を持ったエライ学者センセイでもなく、博識な作家センセイでもなく、
社会の片隅で身の程を知りつつ、必死に老いと向き合いながら、超高齢化社会をたくましく生き抜く、
名も無き老婆たちの生の言葉に妙に感心してしまった日でありました。
20111120r
木枯らしが背筋を抜けて寂しさの傷口だけを開いてゆきぬ
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テーマ : 「生きている」ということ ジャンル : 心と身体

tag : 洗脳 生存確認の電話 孤独死

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Author:千風
気が付けば、シニア.........。 老眼鏡無しには新聞も本も読めず、 体の各部位が少しづつ、 壊れゆく 今日この頃、 この世での 残り時間を思うと、気持ちだけはアセアセ、ジタバタ、 ドタバタ。 心に反比例して 体の動きは うだうだ、だらだら、 とろとろ、のんべんだらりん、だらだらりん・・ついでに座布団に つまづいて すってんころりん。 ころころりん・・。 そんな明日をも知れぬ シニア女が老いと死の狭間で 揺れ動く、 切なくも哀しい乙女心。 じゃなかった・・(^_^;) 「お婆心?」を 時には超真面目に、 また或る時はユーモラスに、 独断と偏見思考で綴っています。
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