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献体すれば葬式代も墓代もかからないという世間の常識は間違い。
つい先日、一人暮らしの知り合い(70代前半女性)が、
「お墓は買えないし、葬式代もかけたくないので献体しようと思うのよ。」と言う。

世間では献体は葬儀代節約のための手段のように思われているらしいが、
そのような、葬儀代の節約のための安易な動機で献体登録を希望するのは、
死に対する心構えとともに献体という厳かな趣旨をはき違えていると思う。

私が登録している大学から、年に2回送られてくる献体登録者の投稿冊子には
登録されている方の献体に対する崇高なボランティア精神の思いや、
ご遺族の方々の故人の献体に対する思いなども載っているが、
その中では、ほとんどの方々が通常の葬儀(家族葬、密葬、一般葬)を執り行い、
その後に献体をしている。
ただ単に葬式代を浮かすためだけの安易な気持ちで献体登録をしている人はほとんどいない。
つまり、通常の葬儀後に献体をしている人が多いということになる。
そして、ただひとつだけ通常の葬儀に欠けている部分は「火葬」だけである。

それでも、おくりびとが葬儀代金が無い・・という場合は死亡した病院から、
大学の解剖学教室(24時間体制)に電話をすれば、
係の者が提携している葬儀社に連絡をして車で遺体を引き取りに来てくれるが、
故人となられた方とご遺族の方が事前に話し合い、又は書面に書き記して、
葬儀はしないことを納得しているのなら、そういう場合はなんの問題もなく、
世間で言われるように「献体すれば葬式代はかからない」は当て嵌まる。

葬儀は故人ではなく遺族の世間体や義理や心の収め方のため執り行う儀式である。
果たして、どれだけの遺族が
「病院からそのまま献体登録をしている大学の解剖学教室の安置室へ直行!」
のごとき、そのような見送り方に納得ができるだろうか。

生きているときは憎たらしかった意地悪爺さんや意地悪婆さんも、
または認知症で手に負えなかった人でも、
故人になれば言葉の上では急に良い人になる。(^_^;)
見送り方も迷うかもしれない・・。

私の場合、今まで家族以外の人のため、また世のためには何ももしてこなかった。
そして、多分これからも、経済的、時間的、また身体的理由で
自分のことだけで精一杯で、世のため、人のために身を捧げることはない。(^^ゞ
そうなると、死んでからの自らの身を持ってしか、
人のため、世のために身を捧げる方法はない。


献体は、防腐処置の関係で、なるべくなら活きの良い遺体がいいらしいので、
私が死んだら、何が何でも死亡した病院の霊安室から、
そのまま大学からの引き取りの車に乗って、大学の解剖学教室へ!」と
エンディング・ノートに書き記しているが、
残った家族が私の希望通りにしてくれる保障はない。


ちなみに、献体登録をしていても、
登録先と遺体の搬送先が大学病院だと勘違いしている人も大勢いる。
登録先と搬送先は大学病院ではなくて、
医科歯科大学及び医学部のある大学の解剖学教室が正しい。


献体から2~3年後に解剖実習が終わり、
火葬をするときに火葬場に遺族が呼ばれる。
火葬費用は大学負担でお見送りをするが、
その時に柩の中の遺体を見ることはできない。
そして、骨上げした遺骨は遺族が引き取ることが原則である。
だが、身寄りがいない人や、生前に親しくしていた人も一人もいない、
という場合だけに限って、合祀してくれる大学もあるらしいが、
私が登録している大学は遺骨は遺族が引き取ることになっていて、
合祀などはしてくれない。


それに、家族の同意(自署での署名と捺印・・
私の場合は兄弟姉妹と配偶者の同意が必須だった)
が必要なので、自分の意思だけでは登録できないシステムになっている。
独り暮らしでも、戸籍上の配偶者、同居別居を問わず親、子、兄弟姉妹が居れば、
それら全員の同意が必要になる大学もあるらしいので、
献体を希望しても、血縁関係が疎遠になっている人は、
先ずは関係の修復が必要になる。

経験上、献体希望者は、先ずは親族の同意を得てから、
登録申し込み書を送って貰う方がいいと思う。

福祉切り捨てが加速している今、
超高齢化の多死時代に死ななければならない私の世代・・
「献体をすれば葬式代がかからないし、
お墓も買わなくていいという世間の間違った常識」
も、個々のエンディングのひとつの選択肢として否定はしないけれど、
今現在、献体登録希望者は掃いて捨てるほどいるらしいので、
死ぬまでに登録できるかどうか判りませんぞ。(^_^;)

前述の知り合い女性は、数件の大学から、
「現在は間に合っております。」と言われているらしい・・・。
20617r
狭庭辺に青きあじさゐ咲き乱る優しき雨に初夏のさざなみ
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テーマ : 思ったこと・感じたこと ジャンル : 日記

tag : エンディング・ノート 多死時代 献体登録 解剖学教室 火葬場

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Re: 献体
私も葬式仏教セレモニーには何の意味も見出してはおらず、関心もありませんが、
夫が世間体を気にする性格なので、
病院からそのまま献体登録をしている大学の解剖学教室の安置室へ直行!
は、今現在は少し難しいような気がしています。
それでも、折りに触れて言い続けていますので、
もしかして、洗脳が成功している可能性が「無きにしも非ず」かもしれません。(^^ゞ
献体
一昨年の父の死に際しては「病院からそのまま献体登録をしている大学の解剖学教室の安置室へ直行!」を選びました。本人以外誰も仏教的セレモニーに何の意味をも持っていないからです。
生前戒名を取っていたのでその後位牌を作り、本人の希望もあり寺で一時間の法要を行いました。
今年の春解剖が終わり、来月に火葬で、骨はそのまま病院に預けます。
病院では5年後に合同散骨するとのことです。それまでに引取るかを考えます。
母も献体登録をしています。わが家には仏教的墓地はありません。(ワンちゃんの古墳はありますが^^)。散骨するか、骨だけをこっそりと古墳に埋めるか、と考えています。
*いつも興味深く拝見しています。
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Author:千風
気が付けば、シニア.........。 老眼鏡無しには新聞も本も読めず、 体の各部位が少しづつ、 壊れゆく 今日この頃、 この世での 残り時間を思うと、気持ちだけはアセアセ、ジタバタ、 ドタバタ。 心に反比例して 体の動きは うだうだ、だらだら、 とろとろ、のんべんだらりん、だらだらりん・・ついでに座布団に つまづいて すってんころりん。 ころころりん・・。 そんな明日をも知れぬ シニア女が老いと死の狭間で 揺れ動く、 切なくも哀しい乙女心。 じゃなかった・・(^_^;) 「お婆心?」を 時には超真面目に、 また或る時はユーモラスに、 独断と偏見思考で綴っています。
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