*All archives* |  *Admin*

認知症外来に来た老婆ちゃんに振り回された話
とある病院に特定検診に行き、総合医の診察順番待ちをしていたら、
ヘルパーさんに連れられて神経内科認知症外来の診察に来たと思しき
80代ぐらいの老婆ちゃんが私の前の椅子に座った。

老婆ちゃんは付き添いのヘルパーさんに
「お風呂はまだ?お風呂はまだ?お風呂はまだ?」と繰り返している。
ヘルパーさんが言う。
「そうねぇ。順番だからもう少し待っててね。
今日は混んでるからもう少し時間がかかると思うわ。
でも、そのうち名前が呼ばれるから、もう少しの辛抱よ。」
と言う。

どうやら、老婆ちゃんは病院をデイ・サービスだと思っているらしい。

そして1分も経たないうちに
「ねぇ、お風呂はまだ?お風呂はまだ?お風呂はまだ?」と再び繰り返す。

老婆ちゃんの脳内ではお風呂に入ることで100%占められているようだ・・。

「もう少しだから、待っててね・・」とヘルパーさん。

その直後、やおら後ろを向き私の足元に大量の唾を吐いた。
ヘルパーさんが大慌てで、「ごめんなさい。かかりませんでしたか?」と
ポケットティッシュを出して床を拭き始めた。

ヘルパーさんは「唾を吐くときはポケットに入っているティッシュを出して、
そこに吐きなさいと言ったでしょう。」と優しくまた毅然とした態度でたしなめているが、
老婆ちゃんはお構いなしに今度は自分の前にまた大量の唾を吐いた。
いったいどこから出るんじゃ!?と思うくらいの量なので、
認知症の奥深いであろう脳の壊れ具合を想像していたら、
再び「ねぇ、お風呂はまだ?お風呂はまだ?お風呂はまだ?」
とヘルパーさんに訊いている。

すると、ヘルパーさんが
「じゃあ、お風呂の時間を聴いてくるから床に唾を吐いちゃダメよ。」と言って
聴いてくる振りをして私の目線に入るお手洗いに入って行った。

その間約2分・・・・

老婆ちゃんにしてはなかなか戻ってこないヘルパーさんに業を煮やしたのか、
突然に後ろを向き、私に話しかけてきた。
「あなたもお風呂に入りにきたの?山口さん。」

(えっ?私が山口さん?(?_?))

それでも山口さんに成り切り、
「ええ、そうなんですけど、
今日は混んでるようでなかなかお風呂の順番が回ってきませんねぇ。」
などと適当に相槌を打ちながら、彼女のお風呂に入りたい願望を聴いていたら、
「ねぇ。訊いて・・・いつもね。わたしがお風呂に入っている間に
誰かが私の財布を盗むので困っているのよ。
私がお風呂に入っている間、私の財布を預かっておいてくれない?佐藤さん。」
(えっ?今度は私は佐藤さん?(?_?))
と、ポシェットから、赤い財布を取り出して私に手渡そうとする。

困り果てているところにヘルパーさんがお手洗いから戻ってきて、
小声で「受け取って預かった振りをしてくださいませんか・・。
中身は入っていませんから。」
と言うので、「じゃ、わたくし佐藤が責任を持ってお預かりします。
ところでお風呂はまだかしらねぇ?」
などと話をはぐらかして財布をヘルパーさんに返したところで、
やっと老婆ちゃんは名前を呼ばれ、
軟体動物みたいにクネクネさせながらもやっと立ち上がり、
ヘルパーさんに腕を抱えられて、
彼女の脳内ではお風呂、実際は認知症外来の診察室に
入って行こうとしたそのとき、
老婆ちゃんがやおら踵を返して私の方に振り返り、
「フミコ!(えっ?今度は私はフミコさん?(?_?))
あんた私の財布を盗んだでしょ?返して!」
と来たもんだわよ。(^_^;)

そこでヘルパーさんが「あらいやぁねぇ。
財布はフミコさんじゃなくて、わたしに預けたじゃない?ほら!」
と言って空っぽの赤い財布を老婆ちゃんに渡して、
私への嫌疑というか、盗られ妄想の件は一件落着したのでありまするが、
認知症の老婆ちゃんとこういう場所で
面と向かって話をしたのは初めての経験なので、
驚くやら、目が点になるやら、
いろいろ今後の参考にはなったけれど・・
もし、老婆ちゃんにご家族がいらっしゃるなら、
ご家族は日々しんどい思いをしているのだろうな・・。
と思うと老いの切なさが込み上げてくる。


私の血縁には早世者が多く、平均寿命はおろか、
加齢に因る認知症になるまで生き長らえた人は一人もいない。

逆に我が夫の血縁には長寿者が多く、
夫の父親は生前、80代になったころから、
盗られ妄想が出ていた。
夫の母親は生前、90代になったころから、
子どもが誰だか判らなくなっていて、
「あなたはどちらさまですか?」と良く訊いていた。

「いずれ行く道」とはいえ、夫もあんな風になるのだろうか・・・。

もがいてもなべては混沌(カオス)に零れ堕つ愛の記憶も憎悪の記憶も
関連記事

にほんブログ村 シニア日記ブログ 女性シニアへ



テーマ : 思ったこと・感じたこと ジャンル : 日記

tag : 神経内科 認知症外来 デイ・サービス

Secret
(非公開コメント受付不可)

Re: NoTitle
すりむまま様。こんにちは。

久しくPCを起動する時間が有りませんでしたので、
お返事長らくお待たせいたしました。 (^_^.)

寝たきりも、認知症も、いずれ行く道かもしれません。
老いとは切ないものですわね。

NoTitle
ナス代さん、こんばんは。
うちの母も物盗られ妄想が出てきました。(-_-;)
それにしても、そのヘルパーさんもナス代さんも素晴らしい対応ですね。
なかなかこうは出来ません。
検索フォーム
人気ブログランキング
にほんブログ村
福島は今...
プロフィール
Author:千風
気が付けば、シニア.........。 老眼鏡無しには新聞も本も読めず、 体の各部位が少しづつ、 壊れゆく 今日この頃、 この世での 残り時間を思うと、気持ちだけはアセアセ、ジタバタ、 ドタバタ。 心に反比例して 体の動きは うだうだ、だらだら、 とろとろ、のんべんだらりん、だらだらりん・・ついでに座布団に つまづいて すってんころりん。 ころころりん・・。 そんな明日をも知れぬ シニア女が老いと死の狭間で 揺れ動く、 切なくも哀しい乙女心。 じゃなかった・・(^_^;) 「お婆心?」を 時には超真面目に、 また或る時はユーモラスに、 独断と偏見思考で綴っています。
最新の世迷言
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
お気に入りブログ
ブロとも申請フォーム
読書メモⅠ
商品紹介
Twitter
読書メモⅡ
永遠の世界への旅立ちグッズ