*All archives* |  *Admin*

爆笑エンディングセミナー体験記 其の4。爆笑の中に隠れていた辛く悲しく重い或る女の人生の哀愁秘話物語・・
さてと、場所は前回の記事と同じ副葬品展示室です。

葬式仏教からは決別すると誓った日から、
夫の葬儀を無宗教で執り行うつもりの私は、
位牌の代わりになりそうな名前入りクリスタル遺影写真を見て、
これがいいかな?
と思って価格を見たら3万円と書いてある。
葬式仏教の戒名代を考えると安いものだが、
クリスタル遺影写真とはいっても、
重く分厚いクリルタル製写真スタンドに
写真を埋め込んであるだけの代物である。

値札の下に「文字彫りは無料」と書いてあるが、
どうせ、初めから文字彫り料も価格の中に入っているんだろうさ。

見た目は綺麗だが、同じような形状の記念品二つが家にあって、
(娘が学生時代に何かの賞で貰ったのと、夫が会社員だったときに
会社創立100周年記念で全社員に配られたもの)
今も処分できずにクローゼットの中の引き出しに押し込まれている。

「やっぱり、こんなものはいらんわ!止めよっと・・。」
と我が単細胞が即思考転換していたら、
隣で一緒に見ていた、初めからあまり言葉を発せず、
私のように大笑いもしなかった物静かなオバサマFが、
声をかけてきた。

「こんな割れやすく重いガラス製は危ないわよ。
地震のときに頭にでも落ちてきたら、あなた!そのまま彼の世行きよ。
100円ショップで売ってる落としても割れない
軽いプラスチック製の写真スタンドの外枠に
レースのリボンテープでも貼って、
スタンドの上枠にレースで作った薔薇でも貼れば、豪華に見えるわよ。
それにね、こんな生々しくて、わざとらしく悲しみを誘うような写真を
仏壇やサイドボードの上に置いてたら、
目に入る度に泣きたくなって、喪失感がなかなか消えないわよ。
寿命を全うして亡くなった方だったら良いかも知れないけど、
そうじゃない場合は、
家の中には死者を思い出すものは何も置かないに限るわよ。」
と忠告?してくださる。

「はぁ...そんなものなのですかぁ・・?」と気のない返事をしたら、
オバサマFが訊きもしないのに、彼女の過去を語り始めた。
なんでも、30年ほど前に彼女と幼いお子様を残して、
当時40代のご主人様を不慮の事故で亡くされたとか・・

「あらあら、まぁまぁ、、、、そうなんですか。
随分とご苦労なされたんですねぇ?」
と、ありふれたねぎらいの言葉をかけたら、
オバサマFは突然、驚愕することをおっしゃる。

「ウウン・・あんな人には早く死んで欲しかったのよ。
アルコール依存症で、暴力は振るうわ、会社は無断欠勤するわで、
私の勤務先の給料日のときに
わたしが汗水垂らして稼いだわたしのお給料を取り上げて、
酒屋に行こうとして車に跳ねられて、あっけなく即死したのよ。
わたしね。世間や主人の親族からどんなに薄情者と思われようと、
そのときはとても嬉しかったのよ。
命の価値の基準ってなんなのかしらね?
今も判らないけど、時間薬という薬は良く効くわね。
ときどき、あの悲惨な家庭状況を思い出すと辛いけど、
今は何の感傷も無く、初めて遇った知らない人にも
話せるようになったんですもの・・。
それにね。わたし今、ガンで闘病中なのよ。
ここのすぐ近くの○○総合病院で通院での抗がん剤の治療中なのよ。
治療をしないと余命は約一年なんだって。
もし、抗がん剤治療が効けばもっと生きられるらしいけど、
副作用の辛さに耐えられなくて、治療の一時中断をお願いして、
ここのエンディングセミナーに参加したのよ。
私には時間がないの。だから、私の葬儀はお金の問題に関係なく
ここの直葬プランに決めるわ。
来月からまた抗がん剤治療を始めるんだけど、
その前にホスピス探しに駆けずり回るつもりよ。
だって、受験生を二人も抱えた一人息子夫婦に時間的余裕も
経済的余裕もないし、いくら実の息子とは言え、
心配と迷惑はかけられないでしょ?
だから、自分の人生の後始末は最後まで自分でつけたいのよ。
でも、最後の最後まで希望を持って尊厳を保ちながら生き抜くつもりよ。」

だそうです。

立て続けにものすごく重い話のダブルパンチなので、
返す言葉もなく、呆然としていたが、
ふと言い知れぬ疑問が湧き、
「どうして、私に話をする気になったのですか?」
と訊いたら、
「こういう不幸話はみんな嫌がるでしょ?
今日のエンディングセミナーに来ている人たちでも、
本当ならば死を考え、自分の死を受容するために来ているはずなのに、
皆さんの目を視ると、死は他人事のようでもあり、
とても本気で参加しているようには見えないし、
リアルな死から目を背けているような人ばかりじゃない?
でもあなたなら、女の直感で耳を傾けてくれそうな気がしたのよ。
それにね。死期を宣告されたり、死が迫っている人間って、
感覚が尋常でないくらい鋭敏になるものなのよ。
あなたは、楽しそうに笑いながらも死に対して真剣そうに見えたから、
つい聴いてもらいたくなったのよ。傾聴ボランティア、ありがとうね。
もしかして、ご迷惑だった?それとも嫌な気分にさせてしまったかしら?」

私は、「いいえ、迷惑だなんてとんでもないです。
残り時間の少ない有限の人生をもっともっと有意義に生きるために
大いに参考になりました・・。
重いお話でしたが、聴かせていただき、ありがとうございました。」
と答えるのが精一杯だった。

お互いに名前も知らない、そしてもう二度と出会うことのない、
一期一会の人なので話してくれたのだとは思うが、
明るく大笑いしながらのエンディングセミナー参加者の中にも、
過去の悲しく切ないトラウマに支配?され、
更にはガン闘病という重圧に耐えながらも、
今を懸命に生きている人が存在していることと、
その心の強靭さと生へ希望を捨てていないことに胸が熱くなった。

私などは夫への不平不満をペラペラペラペラと尾ひれを付けて
友人たちに喋りまくりながらも、現実には夫に頼り、
甘え切ってることをそのときだけ(^^;は反省し、
そして、このエンディングセミナーに
そのとき初めて参加したことを心から良かったと思った。

実際の葬儀にかかるぼったくりオプション料金のことは別にして・・。 
131105r
秋牡丹耐える女の化身かと想わせるごと夕映えに燃ゆ

(※秋牡丹 別名:秋明菊 花言葉:忍耐)
関連記事

にほんブログ村 シニア日記ブログ 女性シニアへ



テーマ : ひとりごとのようなもの ジャンル : 日記

tag : 葬式仏教 クリスタル遺影写真 傾聴ボランティア

Secret
(非公開コメント受付不可)

検索フォーム
人気ブログランキング
にほんブログ村
福島は今...
プロフィール
Author:千風
気が付けば、シニア.........。 老眼鏡無しには新聞も本も読めず、 体の各部位が少しづつ、 壊れゆく 今日この頃、 この世での 残り時間を思うと、気持ちだけはアセアセ、ジタバタ、 ドタバタ。 心に反比例して 体の動きは うだうだ、だらだら、 とろとろ、のんべんだらりん、だらだらりん・・ついでに座布団に つまづいて すってんころりん。 ころころりん・・。 そんな明日をも知れぬ シニア女が老いと死の狭間で 揺れ動く、 切なくも哀しい乙女心。 じゃなかった・・(^_^;) 「お婆心?」を 時には超真面目に、 また或る時はユーモラスに、 独断と偏見思考で綴っています。
最新の世迷言
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
お気に入りブログ
ブロとも申請フォーム
読書メモⅠ
商品紹介
Twitter
読書メモⅡ
永遠の世界への旅立ちグッズ