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「私の嫌いな10の人びと」を読んで。どうせもうすぐ死んでしまうのに・・良い人を演じ続けることに疲れ果ててしまっている人には気分転換になる稀書かも?
私の嫌いな10の人びと」を読み終えました。


不快なことには徹底的に抗戦する哲学者
中島義道氏の合いも変わらずの、
世間一般から見ればエゴイストの権化のような本です。
著者が嫌いだ!と思っている人々の10パターンを取り上げ、
その理由を書き連ねています。







哲学者、中島氏の嫌いな10の人びとは、

1、笑顔の絶えない人
2、常に感謝の気持ちを忘れない人
3、みんなの喜ぶ顔が見たい人
4、いつも前向きに生きている人
5、自分の仕事に「誇り」を持っている人
6、「けじめ」を大切にする人
7、喧嘩が起こるとすぐ止めようとする人
8、物事をはっきり言わない人
9、「おれ、バカだから」という人
10、「わが人生に悔いはない」と思っている人




だそうです。



8、物事をはっきり言わない人
9、「おれ、バカだから」という人

を除いては、一般常識的には理想的な好人物の印象を受けますが、
中島氏によれば、
10、「わが人生に悔いはない」と思っている人」
については、「さっさと満足して死になさい」
と一刀両断に切り捨て、とても辛辣です。


1~10までの全部を取り上げるのも面倒なので、(笑)
2つの章の一部だけを取り上げてみます。


「常に感謝の気持ちを忘れない人」

『『放浪記』の一七九五回公演を達成し二〇〇〇回公演を目指す森光子も、
この奇跡的な偉業について感想を求められるたびに、
「お客さまのおかげです」の連発。
政治家がおまじないのように「国民のため・・・・・・」
と唱えるような、つまりそう言ってまちがいないという心理状態に支えられた、
謙虚に見えてずるい言葉に思われました。
もちろん、森光子さんはほんとうにそう感じているのでしょう。
でも、さらに正確に言えば、「ただただお客様のおかげ」ではなくて
「お客様のご支援と、私自身の不断の努力と、偶然のため」
と答えねばならないことぐらい彼女は知っているはずだからです。

・・・中略・・・

蛇足までに、私も物書きの端くれですが、いままで一度たりとも、
「お客様のおかげ」と思ったことはありません。』P32



「みんなの喜ぶ顔が見たい人」

『「みんなの喜ぶ顔が見られたらそれでいい」
「みんなが喜んでくれるだけでうれしい」……
こういうせりふをこの国ではなんと頻繁に聞くことでしょう。
そして、私はこういうせりふがなんと嫌いなことでしょう。
なぜなら、彼らは自分の望みがとても謙虚なものと思っている、
という根本的錯覚に陥っておりながら、それに気づいていないからです。
「みんなの喜ぶ顔が見たい」とは、なんと尊大な願望でしょうか!
その願望は、結局は自分のまわりの環境を
自分に好ましいように整えたいからであって、エゴイズムなのです。』P53









同世代の友人が現在ガン闘病中なのですが、

「いつも笑顔の絶えない人」
「常に感謝の気持ちを忘れない人」
「みんなの喜ぶ顔が見たい人」
「いつも前向きに生きている人」

を絵に書いたような人であり、
世間一般では良い人と見なされる模範のような人です。

お見舞いに行く度に「暗い話は聞きたくないわよね・・?」
と無理して笑顔を作り、
すぐに前向きで明るい話題に持っていこうとします。
私としては、ガン闘病中なのだから落ち込んでいて当たり前であり、
私とは長い付き合いなのだから、
遠慮なく心身の苦痛を訴えて欲しいと思っていますし、
私は今後の参考のためにも、
ガン闘病中の心身の状態というものを訊きたくて仕方がないのですが、
彼女はそういう話はおろか、心身の苦痛に関しては一言も口にしません。

彼女の無理して笑顔を作り、
無理して人生を演じている様子を見ていると、
私まで切なくなります。
だからと言って彼女を嫌いにはなりませんが、
たかだか、お見舞いに来た人の気持ちを思いやるよりも、
もっともっと自分の心に正直なエゴイストになって欲しい。
と思っているのですが、
彼女は死ぬまで良い人を演じ続けるのでしょう。
結局は自分のまわりの環境を
自分に好ましいように整えたいエゴイストとして・・。



いつも笑顔を絶やさずに、何事も感謝!感謝を信条とし、
人生は前向きであらねば!とか、幸せ探しに快感を感じる人や、
自分の心情を隠して極力争いを避けつつ、いつも良い人と思われたい。
そのような人には、この本は不向きです。
大げさに言うと、あなたの実践している
「良い人の常識」なるものはズタズタに打ち砕かれ、
再起不能になること間違いなし!だからです。

また、対人関係において自分が良い人を演じていることに
まったく気付いていない人は、
1ページ読んだだけで嫌悪感をもよおすと思われますので、
ご覚悟なされますように。(笑)





著者は本を買ってくれた人々に感謝は一切しないと明言しています。
それでも、良い人でいることに疲れ果ててしまっている人々の中には、
社会の常識とは考え方の180度違うこの著者の本を読み、
ある種の安堵感を得る人が存在することも事実です。
逆に、読まなきゃ良かった。時間の無駄だった!と怒る人もいます。
私は、たまたま新聞広告に載っていた「ぐれる!」を初めて読んで、
興味が湧き、他の著書も読みましたが、
全面的に賛同することはできないでいます。
中島氏ほど好みの別れる哲学者兼作家はいないのではないでしょうか。







中島氏の本を読み終えた後にいつも思うのですが、
「どうせもうすぐ死んでしまうのに・・」
が根底に流れ、それが基幹となっている著者のご年齢は
1946年生まれの67歳です。
時間論自我論イマヌエル・カントが専門の哲学者ですから、
ご自分の残り時間内に為すべきことも見据えているかもしれません。
もしかして、辞世の句ならぬ、
辞世の書も既に書き終えていらっしゃるかもしれません。
いつの日にか、中島氏がどのような遺稿を残されて、
どのような形でこの世から永別されるのか?
には、ものすごく興味があります。

中島氏がこのブログを訪れる確率はゼロだと勝手に思っていますので
言いますが、著者の容姿も著書から受けるイメージ上の性格も、
100%!私の好みではありません。(笑)



それでも中島氏は、自分の周りに溢れる不快感を取り除くことと戦いつつ、
社会の常識と言われている事象に真っ向から異を唱え、
自我を正直に貫き通す様子を書くことで、
話題のベストセラー本にはならずとも、著書はそこそこ売れています。
それは、私のように著者に感謝をされもせずに本を買う
もの好きなマイノリティがいるからです。
(ちなみに私はブックオフで一冊150円以内でないと買いません)

ということは、ある意味、戦う哲学者中島氏は、
自我を押し通すことによって金儲けが出来る
稀に見る幸せな哲学者=商売人=成功者なのでしょう。
中島氏の本は他にも読みましたが、
リアル生活の対人関係においては、
できれば争いのない円満な社会生活と家庭生活を営みたい、
と思っている私には中島氏のようにはできません。

中島氏のように多少の弊害があろうとも
主観的生活で生きることができるのは、
既に富と名声を得、
更には印税生活が可能な物書きゆえに出来ることなのでしょう・・。


不平等で不公平で矛盾だらけの社会の中で、
更には惰性で仕事や家事をしなくてはならない家庭という檻の中で、
良い人を演じて生きることに疲れ果ててしまった人や
物事を斜に構えてしか見ることができないほど、
人間不信に陥ったり絶望のどん底に堕ちた経験のある人。
またエスプリユーモアの解かる人。
「今からでも遅くはない!わたしは本当の自分で生きたい!と考えている人。
それに、「どうせもうすぐ死んでしまうのだから、
この際ブッ飛んで生きてみようか。」
と考えている人にはオススメかもしれません。
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テーマ : シニア・エッセイ ジャンル : 日記

tag : 私の嫌いな10の人びと 中島義道 時間論 自我論 イマヌエル・カント 辞世の句 辞世の書 哲学者 エスプリ ユーモア

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Author:千風
気が付けば、シニア.........。 老眼鏡無しには新聞も本も読めず、 体の各部位が少しづつ、 壊れゆく 今日この頃、 この世での 残り時間を思うと、気持ちだけはアセアセ、ジタバタ、 ドタバタ。 心に反比例して 体の動きは うだうだ、だらだら、 とろとろ、のんべんだらりん、だらだらりん・・ついでに座布団に つまづいて すってんころりん。 ころころりん・・。 そんな明日をも知れぬ シニア女が老いと死の狭間で 揺れ動く、 切なくも哀しい乙女心。 じゃなかった・・(^_^;) 「お婆心?」を 時には超真面目に、 また或る時はユーモラスに、 独断と偏見思考で綴っています。
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