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ポロリ、ポロリと死んでゆく。みんな別れてしまうのだ。 呼んだって、帰らない。なにしろ、此の世とあの世とだから叶わない。
今日、唐突に友の死を知らされた。
今、私の心の中は哀しみと無常観で覆い尽くされている。
そして、中原中也が弟の死に際して悼んだとされる詩。

「ポロリ、ポロリと死んでゆく。みんな別れてしまうのだ。
呼んだって、帰らない。なにしろ、此の世とあの世とだから叶わない。」
が身に滲みる・・。

その人は花友と呼ぶにふさわしい花好きな女60代性であった。

私がプールに行くために、バス停に向かう途中の路地に
色とりどりの花に溢れるその人の庭と家はあった。

ある日、その彼女から突然声をかけられ、
「あの~、お近くの人ですよね?
増えすぎて捨てるに忍びなくて・・
ご迷惑でなかったら、この花をを貰っていただけませんか?」
と、ポットに植え替えられた水仙を手に、声をかけられた。

どうやら、彼女は2階の窓から、
私が週に2、3回、往路と復路に同じ時間帯に
彼女の家の前を通り過ぎるのを見ていたようであった。


知り合って約3年。
その後、彼女とは庭友、花友として、
彼女には色々な花の名前や育て方を教えてもらったりしていた。

その彼女が一年ほど前のある日、
「私ね・・難病の宣告を受けちゃったのよ。今度入院するの。」
と言い、その日以来、
彼女が庭でガーデニングを楽しむ姿を見ることはなかった。

あんなに元気だったのに!と驚いたが、
急激に病状が進行する難病らしく、
「もうガーデニングは無理らしいわ・・。」
と今にも泣き出しそうだった顔が今も忘れられない。



その後は、ときどき水やりのために庭に出てきているらしい
ご主人様に偶然逢ったときの話によれば、
「もう家には帰れないだろうと思うよ。」
とご主人様は寂しげに話をしてくれた。





そして、今日彼女の家の前を通ったら、
ご主人様が植木鉢やプランターに水やりをしていた。
世間話の後で、訊いていいものかどうか迷いに迷ったが、
思い切って訊いてみた。
「その後、奥様の具合はいかがですか・・?」と。


「ああ、女房ね・・・・
今年の正月に亡くなってさ、
家族だけで見送って、女房の希望で海に散骨したんだよ。
今頃は千の風になって、その辺を吹き渡っているんじゃないかな・・
あなたにはいろいろ、お世話になったらしいね。ありがとうね。」と、
意外にもあっさりした口調で彼女の入院生活のことなどを
お話してくださった。

永別のためのグリーフケアには息を引き取るまでに
十分過ぎるほど時間を割いたので、亡くなられた直後も現在も、
世間で言うところの喪失感はそれほど湧いてこないのだとも、
おっしゃっていた。

そして、彼女の一番好きだったという菫を一鉢、
形見として貰って欲しいと言われ、
彼女の化身のような気がして、ありがたくいただいて帰ってきた。

彼女とは、庭や庭越しに話をするだけで、深く濃い付き合いはしなかったが、
同い年の花友として、綺麗で美しい思い出だけを残してくれた。

「この庭の桜の木から花びら舞う季節が来たら、この庭テーブルでお茶しない?
お茶に桜の花びらが入ったら、自然の桜茶になるわよね。♪」
と、楽しげに笑っていた彼女。

その約束も果たせずに彼女は千の風になってしまった。
r343
3年前、我が家の狭庭辺に植え替えた水仙が可憐に咲き誇っている。
その隣に今日形見としていただいてきた菫を置いた。
r343_b
彼女は難病に罹る前に自身の手で、
死後に自身の姿を花に変える準備をすでに済ませ、
人の命の儚さとともに、人を悼むということの本当の意味を
教えてくれているような気がしてならない・・。
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テーマ : シニア・エッセイ ジャンル : 日記

tag : ガーデニング 千の風

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プロフィール
Author:千風
気が付けば、シニア.........。 老眼鏡無しには新聞も本も読めず、 体の各部位が少しづつ、 壊れゆく 今日この頃、 この世での 残り時間を思うと、気持ちだけはアセアセ、ジタバタ、 ドタバタ。 心に反比例して 体の動きは うだうだ、だらだら、 とろとろ、のんべんだらりん、だらだらりん・・ついでに座布団に つまづいて すってんころりん。 ころころりん・・。 そんな明日をも知れぬ シニア女が老いと死の狭間で 揺れ動く、 切なくも哀しい乙女心。 じゃなかった・・(^_^;) 「お婆心?」を 時には超真面目に、 また或る時はユーモラスに、 独断と偏見思考で綴っています。
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