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老人介護施設での実習・・ネンネンコロリで生きるということ
友人のお義母様(80代後半)が、老健を出されそうだ・・・と悩んでいたが、
このたび、めでたく?特別養護老人ホームに入居できそうだと喜んでいた。
だが、「嫁の自分が老いた義母の介護もしないで、
世話を他人様の手に委ねるということに対して、
自責の念もあり、複雑な心境なのよ・・」とも言う。

よく聞く話しではあるけれど、
ご主人様の兄弟姉妹は嫁であるあなたが介護するのは当然でしょ!
的態度で口だけは出すが、手もお金も出さないらしい。


育児は明日が見えるが、介護は明日が見えない。
親が、そして配偶者が死ぬまで在宅介護or施設介護は続く。


それで・・特養ってどんなところ?
を、当時の日記を参考に、
特に印象深かった部分を主観のみで記録しておこうと思う。

介護保険が施行される前、
私は県が主催するホームヘルパー養成講座に通った。
そのときはまだ、自分の老いも死も眼中にはなく、
ただ仕事をしたい!
の一心から、受講料の補助がある県が主催の講座に申し込み、
抽選で見事当選し、ただただラッキー!との単純な思いだけで、
受講したのであった。


そして、講座受講の最後に現場実習があり、
数班に分かれ、各10人前後が
県内の「特別養護老人ホーム」に行かされた。
私が行かされた施設は湘南海岸近くの「○○苑」。


「あーあ、また・・・実習生かよ。
はっきり言って邪魔なんだよね!
でも、県からの実習要請じゃ今後のことを考えたら断れないし・・・」

実習生全員が、正規職員のそんな囁き声を小耳に挟みながらも、
実習を休むと修了証が貰えないので
お呼びでない的視線を感じながらも、不安と緊張の中、
はりきって、また怖々と、生の介護現場での実習が始まった。



朝礼で注意事項を聞き、
午前中は、
海風が吹きすさぶ寒い中を施設の周りの落ち葉掃き。
排泄物がカピカピに乾いてこびり付いるポータブル便器洗い。
次は、施設内を消毒液を染み込ませた布でベッドや手すりを拭く作業。

そして、やっと入居者様に触れることが許され、
声がかかるたびにあちこちの部屋を駆けずり回り、
排泄時にベッド横に置いてあるポータブルトイレに座らせる等のお世話。
目の不自由な方を行きたい場所までお連れする。
寝たきりの方の手足の爪を切って差し上げる。
そんな、誰にでもできる簡単なお世話だけで済んでいた。


そして、昼食の時間になった。

実習生は自力ではご飯を食べられない入居者の方々の部屋に集められ、
昼食を食べて頂く係を仰せ使った

相手は寝たきりな訳ですから、空腹感もあまり感じません。
それに一日の大半は眠っているんだか、起きているんだか、
意識があるんだか、無いんだか、
棺桶に片足を突っ込んでいるような、いないような、
そんな人たちです。


本当よ・・・。


そんな方々を無理やり起こすのも一苦労。
口を開けてもらうことも一苦労。

そして、時間は迫る・・・・。

それでもなんとか口を開けて貰うことには成功しても、
さぁ、ここからが大変!

離乳食みたいなドロドロのものをスプーンで口に入れて差し上げるのだが、
ベっ!と吐き出したり、だらーっと口から溢したり。

それが何度も何度も・・・

 
隣を見るとやはり実習生仲間も同じ目に合っていたらしく、
汗びっしょりで苦労している。

どうしても食事をして貰えなくて、
オロオロ、アタフタしている処へ正規の介護士の方が入ってきた。

「あらあら、あなたたち、今まで何を習ってきたのよ?
そんな食べさせ方じゃ何回やっても時間の無駄じゃ~ん。
ほら、こうするのよ見てて!」
と言って、いとも簡単に離乳食状のものを「ゴックン!」と飲み込ませる。
そのときは、さすがプロ!とは思ったものよ。

上手く早く食べさせるコツを例えて言えば、
フォアグラを取るためにガチョウに大量の餌を
無理やりに飲み込ませる方法と同じかなぁ・・。
つまり、ドロドロ食物をスプーンで掬って、
ググッと喉の奥の奥の奥まで差し込むのである。
咳き込んでも、無理やりに・・・。 
そうすれば嫌でも飲み込まざるを得ないわけです。

(そのとき、子供がまだ乳幼児だったときに、
シロップ状の風邪薬を飲ませるときは、
スプーンを喉の奥まで突っ込んで飲ませなさい・・
と医師に言われたことをふと思い出した・・。)


そして、昼食が終わり・・・

その部屋では、
入居者同士が隣のベッドの人と会話をするとか、そんな光景は一度もなく。
しーんと静まりかえった相部屋で、
日がな天井というよりも空(くう)を見続ける人と、
また死んだように眠りにつく人たちがいた。


その部屋の方々は全員が、
「自力移動不可能+寝たきり+紙おむつ」なので、
排泄→眠る→ガチョウの食事→排泄→眠る→ガチョウの食事→排泄。
の繰り返しで、
これで、嚥下が不可能になったら、
御家族、もしくは縁者の方との相談の上で胃ろうになると聞いた。


そんな、昼食風景を見て、そして参加して、
自宅介護の人はどうなのだろう?ということがチラと頭を過ったが、
施設には施設のタイムスケジュールがあり、
入居者の体調や嚥下能力に合わせてのんびり、
ゆっくり食べさせているなんて出来ないらしい。
そのときはそうするしか仕方がなかったから、
教えてもらった方法でなんとか時間内に昼食を食べて頂いたが、
なぜか、人間よりモノ扱いにしている気がして、
相手に対して申し訳ない気分に陥った・・・。







あれからかなりの年月が流れた・・
たった数日の見習い介護士体験で、、
あの経験がすべてだなんてことは言えないけれど、
無理やり餌を口に突っ込まれて生きながらえさせられて、
平均寿命世界一に貢献することに
なんの意味があるのかという疑問符が未だに頭の中に滞っている。

私がもっと歳を取って、ピンピンコロリで逝けなくて、
寝たきりにでもなったら、ああいう施設に入れられて、
ネンネンコロリで無理に生かされて、
一日中天井を見つめながら死を待つのだろうな・・。
寿命は運。死に方も選べない。
ならば、覚悟だけはしておかなくちゃ。

私の母も特養が終の棲家だった。
嚥下力が無くなって胃ろうになる前は、
フォアグラを獲られるガチョウのように、グェ!グェ!と言いながら、
食事を摂らされていたのだろうか・・・。
110208r
なにもなき宙(そら)と静寂・・冬枯れの庭に椿がポトンと落ちむ
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テーマ : 「生きている」ということ ジャンル : 心と身体

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Re: 考えさせてくれます
maru様。はじめまして。
このような、後ろ向きブログにようこそ♪です。

人生はいろいろ・・。
老いや死を見て見ぬふりをして、
目の前の享楽だけを見つめて老後を過ごすのも、
老いと死を真正面から見つめるのも、
老後を生き抜くためのバランスでしょうか・・・。
考えさせてくれます
こういう記事は正規の介護士からあまり聞かないですが、
私が叔母を見舞いに行ったときに感じた事です。
平均寿命更新に貢献しても誰からも喜ばれない現実。

先日ランキングでこちらのブログに出会って、かなり老後について考えさせてもらっています。
前向き、前向きなんて言葉は使えないですね。
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Author:千風
気が付けば、シニア.........。 老眼鏡無しには新聞も本も読めず、 体の各部位が少しづつ、 壊れゆく 今日この頃、 この世での 残り時間を思うと、気持ちだけはアセアセ、ジタバタ、 ドタバタ。 心に反比例して 体の動きは うだうだ、だらだら、 とろとろ、のんべんだらりん、だらだらりん・・ついでに座布団に つまづいて すってんころりん。 ころころりん・・。 そんな明日をも知れぬ シニア女が老いと死の狭間で 揺れ動く、 切なくも哀しい乙女心。 じゃなかった・・(^_^;) 「お婆心?」を 時には超真面目に、 また或る時はユーモラスに、 独断と偏見思考で綴っています。
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